2011年9月6日火曜日

遙かなるロシア 山のあなたの空遠く



ショロホフの小説 ”静かなるドン” は日本ではかなりポピュラーではありませんか?


私がロストフ ナ ダヌー と言うところがどこであるか分からず、とにかく3ヶ月ほど住んでいたオリオル、この街はツルゲーネフが生まれた町ですけれど、トルストイ博物館のほうが目立っていました。


とにかくオリオルから、何十時間と電車に乗ってこの電車が行ってはいけない私達が入り込んではいけない、ウクライナを通過してロストフに行く電車でしたので私達は大変な難儀をしました。


ビザなしで他国に入り込んでしまったのですから、タダではすまされませんでした。


お父さんと息子はアメリカ国籍なので、問題なく通れるけれど、(この恩典は政権が変わる度に、その都度変わるのですけれど)お母さんと娘は日本国籍なのでダメ。あと数十分ほどのロストフを目の前にしながら、18時間ほどかかるモスクワに送還されてしまいました。


ロシアでは国境を越える度に、このような憂き目に何度もあいました。


 「ソヴィエト時代はこんなことは無かった、ウクライナにもアルメニアにも自由にいけた」
と言っている人がいました。
「そうね」







娘と私はモスクワで気を取り直し、絶対にウクライナを通過しない電車を選びそれでも心配しながら、ようやくロストフへたどり着きました。

何日かしてようやくこの街に腰を落ち着けたころ、若い者たちが”カフカス”なぞという単語を発しましたので、「カフカスというのはもしかして、コーカサスのことではないの?」と聞くと「そうだ」と言いました。

 そして街を流れている川が”ドン川”であり、その昔読んだ”静かなるドン”の舞台にいるということを知りました。


”コーカサスの春は早い”から書き出された小説の出だしの一節は、春の南ロシアの田園風景を叙情詩の様に美しく描写していました。

そしてコーカサスという響きは何故か、山のあなたの空遠く。。。
を思わせる響きが私にはありましたけれど、その響きとは裏腹に有史以来絶え間の無い民族間の争い、異民族の襲来と悲惨な歴史が今もなお繰り替えされている地であるのでした。

私達が市役所に住民登録に行くと役人は「カフカスの奥に行かないようにね。年間300人以上の人が誘拐されている」と注意してくれました。


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