2011年12月10日土曜日

遥かなるロシア オリョールの町

19世紀オリョールの町
オリョ-ルの町はモスクワの南南西ベラルーシ、ウクライナ近くにあり、ツルゲーネフが生まれた典型的なロシアの町で、私たちは冬から春にかけて、3ヶ月ほど滞在していました。

典型的という意味は、ダウンタウンは19世紀風の町並み 、裏に回ればソヴィエトロシア時代のコンクリート丸出しの団塊。

ロシアと言えば,いずこの町も村も冬景色がよく似合います。

オリョールの古い町並みは、第二次大戦で殆ど破壊されたと言うけれど、町の中心のごく一部は再建されたのでしょうか。ツルゲーネフの時代のような雰囲気でした。


この町には、トルストイ博物館があって、ツルゲーネフの印象よりトルストイの印象のほうが何故か強かったのです。
トルストイと孫娘


それと言うのもトルストイ博物館で行われる、トルストイの文学を一人で演じる女優の、果てしなく偉大な人格によるものかもしれません。

見ず知らずの東洋人の私に、この女優は100年も前からの知り合いのように洗練された態度で接してくれて、館内をつぶさに案内してくれました。

その彼女の立ち居振る舞いは ”大天使ガブリエル”のようでした。(私はガブリエルにお目にかかったことは無いのですけれど。。)


この博物館の玄関で出してくれた巨大なスリッパーは、雪がドップリついたブーツをすっぽりと包み、ズルーンコ、ズルーンコ引きずって館内を見物して歩く、笑ってしまうものでした。

彼女の演技時間になると、コジンマリしたお城の中の劇場のような部屋に20人近くの観客が集まっていました。


そこで彼女は、朗々とトルストイを演じました。
人々を魅了する見事な演技でした。
この様に偉大な文豪の文学を演じてきた生涯が、彼女を偉大な女生に成長させたのでしょう。

ロシアが世界に誇る文豪の朗読会が、この様に草の根で愛され、市民の伝統となっているロシア文化の奥行きを素晴らしいものとして味わうことが出来ました。


 

このオリョールの町に流れる、オビ川には白鳥がすんでいました。

野生の白鳥をまじかに見るのは初めてで、ドキドキしましたけれど、白鳥って! 岸で立っている姿は黒い長靴を履いている人みたいでした。


冬、この川は凍りつき我々のアパートの窓から、人々が歩いてわたっているのが見えました。


然しながら、私には凍結した川を歩くなんて、恐ろしくてとても出来ませんでした。遠く橋を渡り買い物に行きました。

この川はロシアの大地を滔滔と流れ、そこかしこから流れ来る支流とともに、遥か彼方の母なるヴォルガ河に合流します。

春になり、岸辺の木々に若葉が茂って風にそよぐ時、若葉たちが ”トルストイ、トルストイ” と口ずさんでいるような気がしました。

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